○ 7月11日 尚次郎の子育てコラム
今日は「子どもの愛情力を育む④~キレ行動をなくす~」というテーマでお話していきます。
最近の子どもの行動でよく「キレる」という言葉を耳にします。
昔の言葉で言うと「堪忍袋の緒が切れる」といっていました。しかしこれは主に大人の世界で使われた言葉でした。
今の子どもはキレやすいと言われます。
この原因はいろいろ考えられるでしょうが、一つは「けんかをした経験が少ない」といったこともあります。
子ども同士、兄弟あるいは友人がいっしょにいれば、やがて遊びが始まり、当然その中でけんかもおきます。保育園や幼稚園、小学校でも男女関係なくけんかします。
幼い子どもどうし、おもちゃを巡って取り合いのけんかをします。
お母さんが「貸してあげなさい。」と言ってもなかなか聞き入れません。
お互いにおもちゃをしっかり握って離しません。しまいにはつかみ合いのけんかになったりします。
よく親や大人たちは、その姿を見るやいなや
「やめなさい。仲良く遊ぶのよ!」
と、止めに入ってしまいがちです。
しかし、ここでちょっと様子を見てください。けがなどの心配がなければ、少し離れた場所から見守って下さい。
多少、お互いに力が入って子どもは痛い思いもするでしょうが、それも大切な学習です。
自分が友達や兄弟に力を加えて痛い思いをさせる。逆に相手から力を入れられて痛い思いをする。
また、相手から厳しい言葉や罵声をかけられることもあるでしょう。
見ている母親は、相手が幼児であっても、まるで自分がいわれているかのように心を震わせ、あるいは怒りがこみあげてくることもあるでしょう。
言われた本人はとっても悔しい思いをします。
逆に、自分が罵声を浴びせて相手を泣かせてしまうこともあります。
このようなけんかの一連のことは、実は、子どもたちの愛情力を育てるのにとっても大切な学習なのです。
けんかをすることで経験されるこのような体の痛みや、悔しい悲しい心の痛みが、相手の身体や心を思いやり、相手を痛めすぎないように気づかうことができるようになるのです。
相手の身体や心の痛みを思いやり、共感し、同情できるようになれば、たとえけんかしても、相手に対する手加減をすること、また、途中でけんかをやめることもできる「心のブレーキ」にもなるのです。
この「心のブレーキ」が、ストレスに対する耐性にもつながっています。
ストレス耐性が低い子も、このような経験を積み重ねることで、ストレス耐性が育っていきます。
幼稚園・保育園、あるいは小学校で、リーダーシップをとる子は、勉強のできる子というより、スポーツができる子、またはけんかに強い子です。
しかしここでいうけんかに強い子とは、単にけんかに勝つ子ではなく、「けんかのうまい子」
つまり、けんかをさばいたり、力加減をしたり、コントロールできる子です。
これは怒りや憎しみなどの感情を脳でいうと前頭連合野という部位で調節できる子です。
幼いわが子が兄弟や友達とけんかを始めたら、「あ、この子にとって学習のはじまりよ。」とある意味喜んで下さい。
けんかをとめてわが子につらい思いをさせないというのは、実は、ある意味子どもの成長を妨げているのだということです。
けんかのあと泣いてきたら、「そうなの、くやしかったのね。大丈夫よ。」と聞いてあげて抱きしめてあげるだけで安心します。ただ間違っても「あの子はけちね。」なんて相手の悪口はNGですよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
尚次郎