今回は「自尊感情を高める親の接し方②~他人と比較しない~」
子どもに限らず、私たちはとかく他人と比較して自分の評価をきめてしまう傾向があります。
それは幼い時から、そうではなかったでしょうか。
「○○ちゃんよりも、もっと速く走れるように」
「お兄ちゃんよりも、もっといい成績をとれるように」
確かに中には、他人と比較することでそれをやる気に変えていくこともあります。
「他人と比較する」ということには「やってよい比較」と「やってはいけない比較」があるのです。それをわかった上で、親は子どもに接していく必要があるのです。
<やってもよい比較>
人と自分を比べるということではなく、自分があこがれる人を目標にもつという意味での比較です。それは基本的には、親(他人)から設定される目標ではなく、自分自身が設定するものです。
そのような明確な人生の目標をもった上で、今の自分を見つめ直し、今の自分の課題を見つけ、その課題を克服できるように努力していくことです。
だから
「○○選手のようなスポーツ選手になりたい。」
「そのために、毎日トレーニングをしよう。」
であるとか
「○○さんみたいに、いつも元気で笑顔でいられる人になりたい。」
「そのために、まず自分から挨拶しよう。」
などといった、比較から自分のめざすべき姿をイメージすることはよい比較といえるでしょう。
<やってはいけない比較>
往々にして親が子どもに対して、比較的に見ていくときは「悪い比較」つまり、自尊感情を低下させる比較になりがちです。
「お兄ちゃんは、こんなことできるのに・・・。」
「となりの○○ちゃんは、あんなに成績もいいのに・・・。」
これは、どう考えても子どもの自尊感情を失くす言葉であるということわかると思います。
それはこれらの言葉の後に必ず「あなたはできない子ね」といった言葉があるからなのです。親は感情的にわが子と他人を比較して、「あなたはダメな子」というレッテルを貼ってしまっているのです。これでは、子どもは「どうせダメな子だから。」と自分に対して悲観的になるのも仕方ないものです。
また、これはいかがでしょうか?
「となりの○○ちゃんは、もうこんなこともできるよ・・・。あなたもがんばりなさい。」
一見、励ましの言葉としてよさそうですね。親としてみれば「はっぱ」をかけてやる気を起こさせようとするものかもしれません。
でも子どもには、「できないことが悪い。」や「自分は他人よりも劣っている。」といったことが強く残ります。それは、やはり自尊感情を低下させていくのです。
特に、子ども自身に身近である人、例えば兄弟姉妹や親せきの子、幼馴染の子、となりの子、クラスの子などと比べることはやめたほうがいいでしょう。兄弟姉妹の比較は、言葉に出さなくても親が思っているだけで、子どもは敏感に感じ取ります。お兄ちゃんと弟は別の人格、別の特性をもっていることをわかってあげましょう。
「すにっぷチェッカー」=能力遺伝子検査でも、兄弟でも全く違う結果になることは多いものです。それを見ても、「あ、同じ兄弟でも、特性は違うのね。」ということを理解できるものです。
他人と比較してはいけません。言葉の習得でも早い子もいれば、ゆっくりの子もいます。かけ算九九だってすぐに覚える子もいれば、ゆっくりと少しずつの子もいます。
大切なことは、あきらめずにやり続けることです。それは、目標を見失わず、他人と比べず、コツコツとやることです。以前お話した『うさぎとかめ』の童話からもそう言えるのです。
他人を羨むよりも、自分はどういうふうになりたいかが大切です。そして、子ども自身の精一杯でいいのでその目標に向かって子どもが努力できるように、親は最高のサポーターになって下さい。
見つめるべきものは他人ではありません。自分自身なのです。最高のそして最大のライバルは「自分」なのです。他人に負けないのではなく、自分に負けないような子になってほしいものですね。
「自分(子ども)を信じて、自分(子ども)の可能性を信じて。」
最後までお読みいただきありがとうございました。
尚次郎